天翔る奇跡たち
竜姫さんとジェイド
  

 谷を渡る恐ろしげな風の吹く土地。断崖絶壁に囲まれたドラゴニアの谷。そこに、あたし達を待ち受けるがごとく黒い影が舞い降りた。黒翼のオオコウモリ。目なんかもう……。

「なんか、目が赤く光ってるんですけど、ガナッシュー」

 あたしは助けを求めて彼の袖を引っぱった。

「徹夜明けなんだろうさ」

 ガナッシュはお気楽にそう言った。

「へえ、夜行性って聞くけど、オオコウモリって。追い立てられてるみたいで可哀そう」

「昼にも出張させられてんのかもな」

「ああ! だから寝る間もなくってーって、なにボケてんのよ!」

「お、久しぶり。元気になったじゃーん」

 彼は腰のホルダーからナイフを素早く構え、スラッシュメタル(だから、ナイフにつけたかんしゃく玉ね)を放った!



 すぱぱぱぱぱん!




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