天翔る奇跡たち


 狙い通り、オオコウモリは触覚を無くして目をまわし、まるで糸の切れた凧のように落ちていった。

「でもなんでこんなところに……あんなものが」

 ぶるっと身を縮めて首を引っ込める。ほんとになんでだろうか。

 体が沈み込んでしまいそうな悲しみを負った事がある。独りでは動けなかった事もある。だけど本当は独りじゃなかった。あたしには仲間ができた。だから呼吸ができる。苦しくない。

 本当に独りなのはディノーディアさんだ。仲間でなく、身元も正体も定かでないあたしたちを頼らなければならなかった彼女こそが、本当の孤独を知っているのだ。だから、あたし達の仲間に、と言ったのかもしれない。

 あたし達が彼女とその依頼を引き受けた以上、およその何者からも彼女を守らなければならない。約束だ。って言っても大きさから言っても彼女の方がうんとパワーがありそう。……だよねえ。



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