天翔る奇跡たち
 

 竜を諭すなんて! 並の人間じゃありえない! こういうところなんだよ……グリフの怖いとこ。あたしはしばらくハラハラし通しだった。

「きっと手放し難かったんだ。今の今まで身に付けていたのだから。だからこそ、最後なら自分の手で壊してしまいたかったんだ」

「そう……思うか?」

「ああ、思う。男ならあそこまで言われて、易々とひけやしないよ」

「追いつめて……しまったのだな。私が」

 ディノーディアさんの胸元に下がった珠が白く輝いた。とたん、彼女の髪の毛がプラチナブロンドのウェービーヘアに変化した。

「母者と同じ色……今宵、私は大人になる……イニシエーションのための絆がいる……わぬし、私の絆になってくれ」

 えええええー
 
 私は心の中で悲鳴を上げた。グリフ、あんまりあちこちでいい顔するからよ。竜のお姫様にまでモテちゃって!

「今の問題は違う事だろう? ……古い、友だちだったんだろ? 会いたかったのだろう?」



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