アトリエの人魚
朱鳥は頬を赤らめて笑った
「あの…私…その」
昨晩何があったのか聞きたかったが、聞きにくくてもじもじしていると、彼は察したのか「そぅですよね、泥酔してらっしゃったし…昨晩は楽しかった。本当に」
と少し寂しそうな笑みで朱鳥を見つめた。

「ごめんなさい。本当に何があったのか覚えてないんです。あなたの名前も、どこで会ったのかも…朝起きたら、あなたと一緒のベッドにいたんです」肩を落としうつ向きながら打ち明けた

「そうですか。じゃあ…また自己紹介しなくては。僕は木崎 頼人…画家…いや今はニート?かな。27才です。朱鳥さんとは六本木のバーで会いました。貴女が無茶苦茶な飲み方をしていたので、気になって声を掛けたのです。」

あぁ、そうだそうだった!
昨日は大学で高幡教授に論文を貶された「君には愛がないのだよ。在るべきそこにないのだよ。三枝君…」と。
悔し紛れに六本木へ行ったんだっけ。
店名は…そう、Affection
何故かそこに惹かれて

「僕が声を掛けた時には、貴女はかなり酔っていて…少し泣いているようにも見えました。ただただ飲んでいましたよ。そして一言「愛ってどこにありますか?」と尋ねてきました。僕は突拍子のない問いかけにビックリしましたが、その言葉と貴女の危なげな可愛さに惹かれ2時間程一緒に話してたんです」木崎さんは、赤茶色の瞳を輝かせ、少し照れているようだった。

「Affection…でしたよね。少し思い出しました。でも、どうして一緒に今いるんでしょう?全く分かりません。…本当自分が恥ずかしい、相当飲んだんでしょうね」私は苦笑してみせた。



< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop