教育実習日誌〜先生と生徒の間〜

な、なんなの、先生!?


私の教育実習中は我慢するって言ったのは、先生じゃないの。



「ちょ、ちょっと待って……」



先生だって言ってたじゃない。


『仲良くしたいけど、その時の菫の姿が浮かんだら困る』みたいなこと!


私だって同じなんだから!


一緒に教室にいるときに、もしそんな事を思い出しちゃったらどうしよう!?


クラスの生徒に、ケンカ中の不穏な空気を感じられたら嫌だけど、あまりにも仲良しな雰囲気を醸し出すのもどうかと思うの!


そんな私の気持ちを知ってか知らずか、肩を引き寄せてじっと見つめてくる。



「そんなに困った顔をされると、自分がとても悪い男になったような気分です。

安西先生とはもう、結納も済ませた仲なのに……いけませんか?」



向かい合わせになった私の体を、ぎゅっと包み込まれた。



……絶対、いけません!


頭ではそう思ってるんだけど、なぜか体が言うことをきかない!


だって、はぐはぐされたらもう、抵抗できなくなっちゃうんだもん。


あったかくて、安心できて、私のお気に入りの場所。


だけど、やっぱり!



「先生、これ以上はダメ……」



< 156 / 290 >

この作品をシェア

pagetop