教育実習日誌〜先生と生徒の間〜

幸い、ここにいる連中は皆、打ち合わせに夢中で今の会話を聞いているようなそぶりはなかった。


とりあえず、また出世払いがひとつ増えた訳か……。


俺、そんなに出世できるのか!?



出世と言えば。


昨日、管理職から渡されたプリントを読みながら、家で考えた。


確かに、REXは魅力的だと思う。


これに参加できれば、確実に自分の力になるだろう。


期間は、最低でも2年、最長で4年。


それだけの間、学びながら働けるのが魅力的だ。


……ただし、例の要件をクリアしないと、おそらく選抜されない。


それを満たすために必要なのは……。



その時。


『お呼び出しいたします。松本先生、お電話です』


という、竹森先生の声で我にかえった。



急いで職員室へ戻り、待っていてくださった竹森先生から聞かされたのは


「木内さんのお母さんから、2番にお電話です」


という伝言。


会釈してすぐに内線2番のボタンを押す。



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