天使と野獣

女子生徒は一年生の酒井和美、

落下した男子生徒は二年生の吉岡豊だった。


死亡解剖の結果、吉岡は京介の見立て通り脳挫傷で即死。


しかし、顔に殴られたような痕があったことから、
ただの事故死ではなく殺人の疑いで警察の介入となった。

そして和美は、極度の興奮から心疾患になり
病院へ隔離されることとなった。


普段ならその時点で、ああ、そうか、と、終わっているところだが、
今の京介は何もすることが無かった。


学校へ来てもよそ事を考えるだけで、
弁当を食べて帰ることしか残っていない。

自分の中では,すべき事はしたのだから後は卒業式、

二月の半ばに行われる卒業式だけだった。


普通の人ならその試験結果が重要で、
発表があるまでは落ち着いて何も出来ないところだろうが、

どうもこの京介はそこのところは意識に無いらしい。

目指した大学の学部が、いかに難関で
ものすごい競争率と言う事も考えには入っていない。


先生が選んでくれたものを勉強した。
買った教材は全て目を通した。
そして試験を受けた。

だから、もうすべき事はは何もない。

そう、京介は暇だった。


それで、自分を取り巻いている学校生活の事など無関心だった京介だが、
その落下事件に興味を持った。


警察が捜査を始めているのだから、
高校生が下手に動けば邪魔者扱いされるかも知れないと言うのに

興味を持ってしまった。
< 43 / 171 >

この作品をシェア

pagetop