天使と野獣

「ああ、君の想像通りだ。
彼女は余程ショックだったらしく記憶を消そうとしているらしい。

何を聞いても怯えるだけで… 
昨日より状態は悪いそうだ。
今朝からドクターストップが掛かっているから落ち着くまでは何も聞けない。

だからこうして歓迎されないとは分っていても
学校へ来ていると言うことだ。

幸い君と話が出来て収穫になったよ。
実は、最近はチーズを買う年齢層が一段と下がっていると言うことで
警察としても動いている。

この件がそのチーズがらみならば捜査方針が立て易い。」



こんな会話を刑事と一学生がするようなものではないが、

何故か、その時の刑事たち、
何の違和感もなく話していた。



「先生、もう帰ってもいいか。」



話の途中なのに京介はそう言うと、
返事も待たずに職員室の中にある応接室を出た。

まさに非常識、無作法この上ない行為だが、
誰からも何も声が無かった。







そして京介は考えていた。

サッカーに夢中で、空いた時間に、
ガールフレンドの家の近くの公園で話をしているような奴が、

チーズなどと言う違法ドラッグに興味を持つ事は無い。


そう思った京介は職員室を出ると、

自分の教室へは行かずに、

二年生の教室が並んでいる二階へ向かっている。


チーズを持っていた奴の可能性… 同じクラスの奴だ。

何かの拍子に落として吉岡に見つかった。
それを取り戻そうとして… いや、口封じもある。

相手は一人か。 
吉岡は運動部、サッカー部の新部長だ。

そんな奴の顔を殴るほどの腕力のある奴となれば限られて来る。

複数だとしても… 

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