蜜に恋して
「それと…」
今度は不機嫌そうな表情に変わった陸が一旦間を置いて私を見つめた。
「…?」
「蜜、お前さ、前からずーっとずーっと思ってたんだけど、
天然過ぎんのも玉にキズだぞ?」
「…え?意味わかんない!私天然じゃないよ?しっかりしてるもん!!」
「へぇー、じゃあ全部意志を持った上で行動してるわけ?」
「りくっ!!私だってもうすぐ17だよっ?それくらい出来るし!!」
ふぅん、と言った陸はすっと私の前へと移動してきた。と、思うなり、ツーと私の太ももをなぞった。
「…きゃっ、や、な、何すんの陸…っ!!」
「え?だって蜜は全部意志持って行動してんだよな?
男の部屋にこんなカッコして入ってきて、俺の上に乗っかったり、ソーユウコト、しにきたのかなって思ったんだけど違った?」
目の前にいる陸は、陸だけど、陸なのに、いつもの陸じゃなくって、これは男の陸だったと気づいたのはまた後の話で。
この時蜜の目に映った陸は、蜜を怯えさせるだけだった。
「り、りく…ちが……わ、私ほんとにそんな…っそんなつもり、じゃ…」
じわっと目に涙が浮かんだ時、陸は「ほら、そーゆうのも男からしたら誘われてるよーにしか見えねーの。」と、
真剣な瞳で蜜に訴えたのであった。
「蜜、」
「キスしねぇ?」
幼なじみという存在が、形を変え始める瞬間だった。