蜜に恋して
「…で、なーんであんなことになってたのかなぁ?」
なぁ蜜ちゃん?と普段使わない呼び方で私ににっこり笑いかける悪魔がひとり。
今は陸はベッドに座り、私は床に正座し腰を低くしている状態だ。
(なんでったって、私がこんな目に…っ!)
「えーっとぉ…。…なんでかなー…ぁはは…。」
口から漏れた笑いは消えるべくして消えた。
なぜか陸は、いつもより上機嫌な笑みを浮かべつつもとても怒っているのだ。
その鋭い眼光に射抜かれて、私の体の筋肉という筋肉が静止する。
おかげで私は下げ損ねた唇の右端だけを不格好に揺らすことしか出来なかった。
なんとか話題変えなきゃっ!
てゆうかそもそもそうよ!私は集まりの話をしにきただけなのよ!!
「あ、あのね!今日コノミからメールが来てね、今週の日曜日に1年の時の皆で集まるから陸も良ければ来てって…、それを伝えに来たの…。」
尋ねられていた質問とは的外れな解答を出したことを分かっていた為に言葉が尻窄まりになってしまった。
「り、く?」
何の返事もない陸を恐る恐る見上げると、
「何時から?」といつもの顔で尋ねられて、ほっとした。
「にしても蜜が寝込み襲うような奴だったなんて…「わあああああああっ」
ほっとしたのもつかの間、意地悪な笑みを口元に浮かべそうつぶやいた陸に、
蜜は顔を赤く染めながら、どうにかして誤解を解かねばと頭を捻らせるのだった。