蜜に恋して



「いや〜えっと…た、タルト!タルト持って来たの!」


「…タルト?」


「うんママが作り過ぎちゃってね、あ、それでユミママ電話かかってきて慌てて病院に…でも陸が鍵持ってないから私が…」


暴走して喋り続ける蜜に陸が待ったをかけた。


「もうちょっと落ち着いて話せ、な?」


そう言うと陸は冷蔵庫から、お預け状態になっていたタルトを取り出した。


「私のタルト!!!!」


「は?お前のじゃねーよ。」


そう言うなり一つを口に付けた陸はニヤリと一瞬蜜に目を戻した。


意味を理解した蜜は陸の元へ孟ダッシュし始める。




「たべちゃだめえ〜〜〜っ!!!!!」


「うっせーなぁ。」



早くも一つ目のタルトを食べ終えた陸はもう一つを片手に高く持ち上げた。



「か、返してよお!一個ずつなのっ!!それ私のなの!!!」



頑張ってジャンプするものの取り返せない私のタルト。


「いじわるっ!!!」


「え?俺が?あ〜あせっかくこのタルトは蜜にあげよっかなーって思ったのに。」



「心外。」と言った陸は蜜のタルトを口へと運んだ。


それを見て蜜は絶句した。



「た…食べっ……私の…タルト……。」




「なに。そんなに食べたかった?俺と間接チューでもいいならどーぞ。」


「…っ!!!!!りくのばかっ!!!!!」



目の前に差し出された念願のタルト。(陸くんのかじりかけver)


蜜が本気でキレたのは言うまでもないが、感じたドキドキは本人さえ気づいていなかった。


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