蜜に恋して
「りくー?聞いてるぅー?」
「うん、聞いてるよ。」
「だからねぇー、私のねぇー」
店を出て、蜜を支えながら家路へとつく。
蜜は酒に弱い模様で、しかも酔った蜜はかなりタチが悪い。
タチが悪いというか…人格変わるタイプだなこれ。
いつもは隣を歩く場合も多少距離をとるくせに、今日は俺の腕にギュッとしがみついて放しそうにない。
「りくぅ?」
「ん?」
突然立ち止まってじっと見つめられた。
「おんぶして?」
「は!?」
「おーんーぶうっ!」
「歩けるだろ?もうちょっと頑張ろうな?」
そう言うと俯く蜜。
目線の先を追ったところで
「靴ずれしちゃった。」とにへらっと笑って言った。
「…だめ?」
(そんな可愛く聞かれたら誰だってうんとしか言えねーっつうの!)
陸は心の中で文句を言いつつも、しゃがみ込んだ。
「わぁーいっ。りくすきぃっ!」
「はいはい。…っしょ」
”すき”という言葉に少なからず気を良くした陸は、蜜を背中に立ち上がった。