蜜に恋して



「湊もいればすごい喜んだと思うんだけど…今日は修学旅行でいないのよねぇ。きっと帰ってきてこのこと聞いたら悔しがるわ。」


ふふっと笑うユミママにつられて私も笑った。



「あっ、玄関で立ち話もなんだから早く上がって!」


「あ、いえ…今日は陸に一言伝えにきただけで…。」



そう言うと、今の今まで陸の存在を忘れていたらしいユミママがはっとした顔をした。



「陸下りてきなさーーーい!
蜜ちゃん来てるわよーー!!!」


そうユミママが叫んだのにも関わらず、陸がいる2階からは何の反応もない。



「おかしいわね。寝てるのかしら?」


首を傾げるユミママに、「じゃあまた来ます」と言おうとした時、


「こんなときに寝てるなんて呆れた息子だわっ!蜜ちゃん殴り起こして来てくれていいわよ!」

「へっ!?」



間抜けな声を出した私をおいて、ユミママはパタパタとリビングへ戻っていった。

ユウパパもれんちゃんも、早くどうぞ、とばかりに階段への道をあける。



「うっ…、お、おじゃま、しますぅ…。」



陸の家上がるの久々で、なんかちょっとドキドキする…。




トントントン、と階段を上がっていく蜜を見上げ、玄関に残されたユウと蓮は目を合わせた。



「陸大丈夫かなぁー」

「うん、あれはちょっとやばいかもね。」

「蜜ちゃんほんと見るたび可愛くなるもんな。」

「うん、おまけに今日はお風呂上がりで髪濡れてるわほっぺ赤いわ良い匂いするわで俺もちょっとクラっときた。」

「陸大丈夫かなぁー」

「うん、あれはかなりやばいかもね。」



そんな会話を知るべくもなく、蜜は陸の部屋へ足を進めるのだった。

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