Love Slave
普通の学校にある視聴覚室とは違う。本格的なテレビのスタジオだ。
ここで生徒会の校内放送をしているらしい。


「・・・約束通り、連れてきたぞ」


「早乙女さん・・・・」


等々力先輩が不安そうに近づいてきた。他のメンバー、会長もみんな揃っていた。


「会長・・・・」


会長はそっぽを向いたままだった。顔を窺えない。
やっぱり、怒ってる?


「失礼いたします!新聞部、参上いたしましたっ」


どかどかと日向先輩を先頭に入ってきた。よく見ると、部員全員が目を輝かしている。


「ここが天帝学園の聖地・生徒会棟・・・・」


「設立5年で我が部の悲願・・・生徒会の取材!!」


「噂には聞いていましたけど、超がつくほど豪華な造りですね」


元々の元凶だというのに、反省の色どころかマスコミ魂が激しい。会長も会長で、どうして新聞部の取材を許可したんだ?不法侵入だって明らかになってるというのに。
廃部だって可能のはずなのに、一体何を考えているんだ?


「これはこれは大和様、このたびは我が新聞部を招待していただき、誠にありがとうございます」


「ずっと取材したいと言っていたね?短い時間かもしれないけど、応えるだけ応えるよ」


と、爽やかに言った。そこに殺気は感じられない。


(何なのよ、もう~)


「まずは生徒会執行部の集合写真を撮らせてください!」


まるで修学旅行、はたまたアイドルの写真集。特に会長と副会長はノリノリだった。
でも、二人は目を合わせようとしないことに気づく。


副会長の口許に少し切り傷が見えた。まさか、殴り合いのケンカ!?もしそうなら、どうなっちゃうのよ、この取材!!


「では、インタビューいってみましょう!」


日向先輩はテンション上げて仕切る。カメラが設置される。テレビ番組で使うような数千万円もするものらしい。


「ちなみに、生中継ですので」


しかも本格的かよっ。今、学校中のテレビに私達が映っている。
緊張が高まってきた。
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