Love Slave
「よぉ、生中継による取材だってな!」


ゆーちゃんが万歳しながら入ってきた。顔は赤く、ジグザグに歩いている。授業だって残っているのに酔っぱらっている。


「ちょっとゆーちゃん、ここでは禁酒禁煙だって言ったでしょ」


「いいじゃんか、ってお前、唇から血が出てるぞ?」


「ああ・・・ちょっとね」


酔っぱらった状態でも分かるんだ、この人。私と目線を合わせると、目を細めてにんまりと笑った。


「おう、新人!見たぞ見たぞ~副会長のコイツとスキャンダルしたってな!やるじゃねぇか」


アルコール臭い息を出しながら言われた。もう、みんなの前で堂々と言わないでよ。教師としてどうなの、これ?ただでさえ、気まずいのに・・・・。


ぐっ・・・・・


会長が仔猫の首を取ったように、ゆーちゃんの袖口を引っ張る。酔ってもなお、抵抗するが、無言でつまみ出した。
周りはシーンとなり、会長は何事もなかったかのように手を洗い、笑顔で対応する。


「ごめんね。さぁ、始めようか!」


「はぁいっ」


日向先輩は会長の笑顔にぞっこんだった。



ピンポンパンポ~ン


「皆さま、ご機嫌麗しゅう。新聞部の日向梅子でございます。これから我が校の誇りであり、最高権力者であります生徒会執行部に生中継で突撃リポートを行います。どうぞ、お楽しみくださいませ~」


学校中のテレビに教師や生徒は釘づけになる。スタジオ中のテレビにもここの映像が流れている。


(本当に始まるんだ・・・・・)


新人歌手になった気分だ。ド素人なのに。


「まずはご挨拶に生徒会長、どうぞ!!」


「きゃー、大和様のお言葉よ!!」


「まさか生徒会が取材受けるなんて!」


「永久保存版よ~」


どんな言葉を掛けるのかわくわくする反面、ひやひやする。
< 135 / 281 >

この作品をシェア

pagetop