Love Slave
「な、何てことを・・・・・」


繭さんは愕然とする。黒焦げになったしまった婚姻届を掻き集めるが、粉々になってしまった。


「茶番はここまでだ、繭。俺達はもう、お前のわがままについていけない」


「繭様・・・・」


「繭さん」


「繭ちゃん」


「・・・・・・」


会場中がシーンと静まる。


「ククククク・・・・」


突然、繭さんが不気味に笑いだした。


「どうした、頭がおかしくなったか」


「・・・おかしいのは、にゃまとの方よ。これで婚約破棄出来たと思った?アンタが選んだのはよりにもよって貧乏娘。これでは草薙財閥のプライドが廃るわ」


会長の顔が俯く。前髪で表情が見えない。


早歩きで繭さんに向かって突進する。


「やっぱりぃ、三枝グループと締結する方がいいのよ。あんな子と一緒になったら、由緒正しい財閥の血が・・・・・」


パシーン!!


「か、会長!?」


「大和!」


「大和さんっ」


「・・・・・・」


会長は大勢が見ている中で、繭さんに向かって平手打ちした。
左頬が赤く膨れ上がる。


会長の顔を見て、繭さんの目が潤む。
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