Love Slave
「・・・お前だけだったよな、この目を見ても恐がらなかったのは」


生まれた時から、彼はこの目に悩まされていた。
左右違う色をした眼。これだけで、周りから迫害されていた。


「気味の悪い目」


「アイツの眼から光線が出てくるぜ」


別に特殊な能力なんて持ってない。色が違うだけ。
それだけで差別してくる。しまいには、両親にも恐れられた。


だけど、繭だけは違った。


「あなたって、綺麗な眼してるよね」


初めて会った時から、彼女は侑馬に接してくれた。
彼にとって、初めての経験であった。


彼女に恋心を抱いた。だが、彼女には親に決められた許婚がいた。


強制的に仲を引き裂けられた。
繭も本当の気持ちを隠して、大和の元へ行った。


「黙って見てるだけなんて、ひどくない?」


「見てるだけじゃないよ?彼らを援護したもの」


「繭の名誉をズタズタにしたから、あなたも重罪人よ」


すると、侑馬は繭の前に跪く。


「では、お嬢。この私に罰をお与えください。どんな罰でも受け入れましょう」


フンッと鼻を鳴らす。数秒の沈黙の後、口をゆっくりと開く。


「・・・・繭のそばから離れないで。もう二度と、辛い思いをさせないで」


ニヤリ、と笑う。


「かしこまりました」


侑馬は繭を優しく抱きしめた。
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