Love Slave
「あらっ、アンタどうしたのよ?」


娘の帰宅に母は驚いていた。2週間は帰ってこないと聞いていたのに。私は母の顔を見ると、泣きそうになってしまった。


「ただいま・・・・」


堪えながら、この言葉だけは出した。でも、すぐそのあとに2階に上がった。
部屋に入り、布団の中に潜り込んだ。


早くこの一日を終わらせたかった。うつ伏せのまま、夢の世界へ行きたかった。


しかし、空腹に耐えきれなかった。そういえば、お昼がまだだった。


1階に戻ると、母の姿はなかった。買い物に行ってしまったらしい。


棚を漁っていると、カップラーメンを発見する。お湯を注いで待っている間に、タオルを冷やす。目元がすごく熱い。鏡で確認したら、充血していた。


上を向いたまま、タオルを目元にかぶせる。目を閉じると、またあの悪夢が蘇ってくるからつぶれない。これじゃあ、眠りも出来ないじゃないか。


瞳は開けたままなのに、涙がこぼれる。下唇を噛みしめる。


(会長・・・・・)


あんなひどいこと言ってしまった。会長は悪くないのに。


サディスト会長の事だ、何か仕掛けてくるかもしれない。生徒会執行部に逆らったものは即退学、そんなことになってしまうのも時間の問題。


テスト以上の問題を作ってしまった。これを解くことは不可能かもしれない。あれだけお腹空いていたのに、三口ほどで食事は終わってしまった。
部屋に戻ってまた布団に潜る。目を開けたまま。


「ただいまー」


ガサガサとスーパーの袋の音が天井を通って聞こえる。母のよいしょっと荷物を置く声がする。


トントントン・・・・


何故かそのまま2階に上がってきた。そして、2回ノックする。


「もとかー?ちょっと入るわよ」


入っていいって言ってないのに、母は入ってきた。私は潜ったまま、顔を出さずにいた。


「ねぇ、さっきあの会長さんのドライバーの方がもとかさんに渡してほしいって言われたんだけど」


「え・・・・・・」
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