幕末異聞


「どうですか?似合います?!」


大はしゃぎで沖田が楓の前で一回転する。


「あー似合っとる似合っとる。それが隊服か?」

「ええ!この羽織の色、浅葱色って言って京都は水に恵まれた土地だからそれを意識して作ったって芹沢さんが言ってました」


「芹沢が?妙に繊細なとこあんねんな…」

「あの図体だから一見粗暴そうに見えるかも知れませんが、実際は結構几帳面だったりするんですよ?」



「あんたホンマに失礼なやつやな」


沖田は首をかしげて何のことかわからないといった顔をしている。


「まあええわ。それより早よそれ脱いで茶屋行くで!」

「は〜い!!すぐ行くので先に門で待っていてください」



部屋を出て障子を閉めると沖田の鼻歌が聞こえてきた。

楓も身支度をするため、隣の自室に入っていった。
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