放課後sugary time
せっかく折りたたみ傘を持っていたのに結局全身濡れてしまう。
でも、それすら心地良いって思ってしまうわたしは完全に威千都に堕ちてしまったんだ。
「愛衣ちゃんの心を俺に頂戴?」
威千都の髪から滴る雫がわたしの頬を流れる。
冷たい雨粒と熱い息の混じる距離感に頭の中がぼんやりとして……頷くより先に威千都の唇に自分の唇を重ねた。
「全部あげるよ……威千都にあげる」
明日には雨があがるように、威千都もわたしの目の前から消えてしまうのかもしれない。
そんな不安を抱きながらも今はこの熱を手放せなかった。