加納欄の唇 シリーズ27
「ここにいる欄ちゃんに関する簡単な問題を3問だします。見事全て正確したら、欄ちゃんが、優勝者にプレゼントをする。というゲームです。やってみたい方いますか?あ、園田君、研修中はお疲れさん。ゲーム、参加するの?じゃあ、ステージに上がって。え〜っと、参加したい人は、ステージに上がってもらって」


鮎川さんは、あたしの気持ちにおかまいなしに、司会進行をしていた。



ステージに上がって来たのは、思っていた以上に多く(これが、祥子さんなら、3〜5倍は違ったんじゃないかな)中には、知らない人や、岩さんもステージに上がっていた。


でも、その中には、あたしが探している人はいなかった。



「では、始めます。題1問、欄ちゃんの好きな色は?」



突然始まった問題に耳を疑った。



え?



思わず、鮎川さんを見た。



「問題が簡単過ぎますかねぇ〜」



問題が簡単でも、回答は難しいよねぇ。



事前に、打ち合わせしてないんだから。



下手したら、私のさじ加減で、答えなんて変わっちゃうよねぇ。



「1番多いのが、ピンクかな?黒だとか、白だとか、いろいろありますが。正解があるんでしょうか?これだけ色が書いてあれば、どれかは当たりそうだけど。では、欄ちゃん、好きな色を教えてください」



どうしよう……。



あたしの、好きな色は……。



「紫」


ステージ上ではない所から、突然声が聞こえた。


皆が一斉に声がしたほうに振り向いた。



…………大山……先輩。



来てくれた……。



大山先輩は、あたしを見たままステージへ上がった。


「大山遅いぞ」


鮎川さんに指摘され、大山先輩は、軽く謝った。


「欄ちゃん。好きな色は?」


「紫です」


あたしは、ニッコリ笑いながら答えた。


この時点で3人しか残らなかった。


大山先輩、岩さん、園田さんの3人だった。


園田さんは、岩さんから答えを教えてもらったらしい。



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