加納欄の唇 シリーズ27
「題2問、欄ちゃんの好きな果物は?」


鮎川さんの質問に、これは皆が正解した。


「欄ちゃん、答えは?」


「ピオーネです」


「これは簡単すぎたかな。一緒にいると、わかる問題だったな。では、最後の問題。今、欄ちゃんが望んでいることは?」



あたしが、望んでいること?



それは……。



あたしは、大山先輩を見た。


でも、大山先輩は何の反応もしなかった。



園田さんは。


「恥ずかしがり屋の加納さんなので、早くこのゲームが終わって、ホッとしたいんじゃないかと……」



タシカニ……。



岩さんは。


「俺と呑みたいだろ?」



今じゃなくてもいいかな……。



大山先輩は。


「ピオーネが食いたくなった」



…………先輩!!



当てる気ナシじゃないですか!



「さて欄ちゃん。この中に答えがあったかい?」


鮎川さんに言われて。



あるわけないじゃん!!



心の中でののしった。


「ピオーネが食べたいです」


そんな気持ちとは裏腹に、あたしの口からは大山先輩の答えを引いていた。


「お〜!大山正解じゃないかぁ」


「欄の思考回路なんて、食い物のことしかないから、楽勝ですよ」


と、大山先輩は、コメントしていた。



一瞬にして、あたしの目が細目になる。



公表してやる!!!



皆が見てる前で、大山先輩との関係を暴露してやる!!!!



「大山先輩。優勝者には、ご褒美があるんですよ。絶対断っちゃいけないんですからね」


小声で言って、あたしは大山先輩のネクタイを握った。


あたしの少しふてくされた顔を見て、大山先輩が優しく微笑んだ。



ズルイヨ……。



そんな顔されたら、怒れないじゃん……。



あたしは、ため息をつくと、怒っている表情をやめ、大山先輩を見た。



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