ディア フレンド
アタシは卵やら小麦粉を混ぜながら少し考える。この間、一言も喋っていないのはお分かりであろう。凄く気まずい・・・
とにかく何か話さないと・・

「あ、有李栖・・ゴメン・・」

「何で謝るのですか?」


「だって・・・自分の力もわかんないのに使って・・皆を危険にしたから・・」

有李栖はびっくりしたように手を止める。そして、直ぐに微笑をする。
微笑だけれど、なんか不思議な安心感を得る。

「謝る必要は無いのですよ。杏南が自分の霊力を制御出来ないのはまだ仕方が無いのです。もっと修行をすればちゃんと制御出来るのですよ。」


なんか自分の無力さに少し落ち込んでしまう。確かにまだ修行を始めて数日しか経っていない・・でも、なんか自分が恥ずかしいのだ。

「早くしないと遅くなってしまうのですよ。早く作って明日に備えるのです。」


「うん・・」

アタシはとりあえず急いで泡だて器でかき混ぜる。有李栖はオーブンをセットしている。アタシは頑張って混ぜる。
そして、型に生地を流し込む。そして、トントン。
型をシンクの上に叩き付け、全体を均す。そして20分くらい焼く。

「以外と早く終わったのです、お風呂に入るのです。先に入って良いのですよ。」


「あ、ありがと。」

アタシは厨房を出て、お風呂場に向かう。お風呂場には誰もいなかった。
急いで服を脱ぎ、湯船に入る。なんか、今日はいろいろあって疲れた。
ディフカと一応、打ち解けることが出来た。でも、まだ2人いる。
有李栖曰く、

『ジュシフはかなり厄介な子なのです。心を開くのには時間が掛かるのですよ。』

そのジュシフと修行は明日だ。なんか、不安になって来た。
はぁ・・とにかく頑張らないと! ここで弱音を吐いちゃイケない。
まだ妖怪【スポク】&妖【アヤカシ】と戦うという本業があるのだ。
修行で弱音を吐くようじゃ意味がない。
とりあえず体と髪を洗う。そして、直ぐ出る。

なんか、今日は長風呂の気分ではない。
お風呂場を出てすぐ自分の部屋に行く。
廊下はとても静かでなんか不気味だ・・・自分の部屋まで少し小走りをする。
ガチャッ。バタンッ!
少し勢いよく閉めちゃった・・凄く廊下に響いた。

< 37 / 182 >

この作品をシェア

pagetop