月夜の散歩
あたしが兄に駆け寄るとグイッと腕を引き抱き寄せた


「わぁっ!ちょっと何?」


訳がわからずいると


「可愛いい妹をハグして何が悪い?」


耳元で囁いた


あたしはドンドンと胸を叩き腕から逃れる


不覚にもちょっぴりときめいてしまった


「バカ春樹!」


クスクスと笑う兄を尻目にあたしは助手席に乗り込んだ


あたし達をじっと見つめる目には全く気づかずに…


明日から始まる夏休みの予定は白紙のままだった


太陽がじりじりと照りつけるあたしの嫌いな夏が本番を迎えようとしていた
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