時空奏者
呆然と立ち尽くすハルカ。
―――これは当分
帰れないかもしれない。
「ハルカ!丁度いい時にっ!!」
可愛らしく笑うエレン。
それはまさに天使の様で
うっかり見とれかけるハルカ。
―――黙ってたら
超可愛いのに…!!
「こっち…!!」
エレンが凄い勢いで
ハルカに突進してきて、
ついでに腕もつかまれた。
「うわぁぁああー!」
もうちょっと可愛らしい悲鳴を上げろ
とエレンが思ったかは定かではないが
男か
とポツリと言ったのをハルカは聞き逃さなかった。
―――男て失礼じゃない!!
てか、何が始まるの!?
ハルカが慌て始めたと同時に
しまった!
とリンが思った。
しかし。
時、既に遅し。
「ハルカ様!!」
リンがヒュッと伸ばした腕は
空しく空を切り
エレンは、してやったりと笑い
あの大きな扉を開けたときだった。
「何してんだ?」
エレンが頭から猛スピードで
突っ込んでいったのを
いとも簡単に
片手でエレンの頭を抑え
食い止めた誰か。
「うぎゃっ!」
ゴキッと首が鳴り、すぐにエレンの悲鳴。
「カグラ様っ!!」
よく止めてくれた!と
歓喜に満ちたリンの声。
「だ、誰!?」
ハルカの心からの疑問。