時空奏者



カグラは扉を閉め鍵を掛ける。



「さてと。何が聞きたい?」



カグラはハルカの向かい側にあるソファに座り
にっこりと笑う。



「え、えぇっと…。
こういう時は
何を聞くのが正しいんですかね…?」




思いもしなかった言葉をかけられ
目を丸くするカグラ。


ハルカはといえば
教えて欲しい内容が漠然としすぎて混乱し
頭がショートしてしまってる。



「ははっ!そうだな…。
とりあえず、ここに来た理由から説明しようか」


「お願いしますっ…!」



少し考えてからカグラは話し始めた。



「簡単に言うと
君に返してもらいたい物があってね?

本当はこんな面倒な事はせずに
ハルカから貰おうと思ってたんだが
実際はそう簡単には取れなさそうだった」



実に残念そうなカグラ。

しかし、心の中では
にたりと笑っていることを
ハルカはまだ分からない。



「は、はぁ…?」


「だから、ハルカをここまで連れてきた。
ここまでで質問は?」


―――まるで先生みたい


ハルカは頭の中を整理していく。


―――つまり、カグラさんが言うには
なんか分かんないけど

あたしはいつの間にか
なんか知らない物を持ってて

だけどそれが
カグラさん達には必要なものだった。
だから、それを
早く返してもらいたいってことだ。



「あ、はい!
あの、返してもらいたい物って?」



なんだか雰囲気的に
手まで上げてしまったハルカ。



「あぁ、【ストーン】ってやつなんだ。
その名のとおり小さい石だよ」


「はぁ?」



一体、何のことなんだろうと
首を傾げるハルカ。



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