時空奏者
―――思い出しても怖いよー…
リンの後ろを少し離れて歩くハルカ。
警戒されている事に
少し笑みを浮かべるリン。
…まあ、仕方ない。
一応、昨日は手加減したんですよ?
と、心の中で言い訳を並べるリン。
ハルカのその後は
リンにかなりビビりながら
一夜を共に過ごした。
リンの裏を知った昨日の出来事。
昨日の出来事が、
この組織になにか関係があるかもしれないと
ハルカは推理を始めた。
―――だって、いきなり殴るって…
しかも女の子が…
てか、どこ行くんだろう?
行き先を聞いてなかった事を悔やむハルカ。
―――あの後は
リンがあの女の子を連れて
どこかに行ってしまった。
渡り廊下を渡り、
あの大きな部屋へと向かうが
どこに行ったんだろう?
あんな様子のリンと。
―――…やっぱり、気になる。
「リン、昨日の女の子どうなったの?」
「…え?あぁ…死んではいません」
にこやかに言い切ったリン。
寒気が走るハルカ。
―――答え方が…!
衝撃的すぎるっ
目の前には見覚えのあるあの扉。
げ!と思ったハルカにお構いなく
それを開けるリン。
「どうぞ」
ペコリとお辞儀するリンに
付いてくる気はないのを感じ取り
かなりガッカリしつつも
前へと足を踏み出した。
もう、後戻りはできない。