時空奏者



部屋に入ると
不機嫌なエレンと
謎の美少女がソファに向かい合って座っていた。



「遅いんだよあのバカは。…ったく」


「あら、可哀想に…」



―――えぇっと…
この美人さんはどなた?


ぽかんとその光景を見ていたハルカ。

それに気付いたのは謎の美少女だった。



「エレン、ハルカさんいらっしゃってるわよ?」


「んあ?……遅い」



くすりと笑いながら
ハルカを見つめる美少女。

目つきがハンパなく
怖いものとなっているエレン。



「し、知らないし!!」



まさしく『蛇に睨まれた蛙』状態のハルカ。



「さっさと出るぞ。色々と調べてぇし」



立ち上がるとぐいと手を引っ張るエレン。



―――…すごい、力っ…!



「ま、待って!!」


「ああ?」



振り返ったエレンの
声のトーンと目つきに関しては
触れないでおこうと思う。



「ほ、ほら!あの…その……!!」



冷や汗だらだらのハルカ。
噛みまくるハルカが何を言いたいのか
よく分からないエレン。



「あ!!そ、そう!
い、い…いいお天気だねっ!!」


「…あたしが悪かった。

頭打ったんだろ?
昨日ベッドから落ちたんだろ?」


「へ?」



哀れむエレンの目。



―――えぇ!?なんで!


あ、いいお天気じゃない!?



そういう問題じゃないが
気付かないハルカ。



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