時空奏者



「リン!」


「はい」



エレンが呼ぶといつの間にか
ハルカの後ろにいたリン。


「うわっ!!」



―――どこから沸いてきた!?



「…送ってやって」


「かしこまりました」



「あー、あと。
ハルカてめぇ逃げようなんて考えんなよ?」


「っひ!」



ケケケと笑うエレン。



「ハルカ様、こちらへ」



ハルカとしては
今すぐにでもこの悪魔の首を
切ってしまいたかったが、

さすがに殺人犯は嫌だった。



「じゃあね、ハルカさん」



サリアがふわっと優しく笑いながら手を振ってくれる。

その横でつまらなさそうに大欠伸をするエレン。


―――サリアさんは可愛いし
女神様みたいなのに…!



ムカムカしながら
リンと建物からなんとか出る。



―――なんとか脱出成功!!



そしてまた目の前に荒野のような風景が目に入る。

ふと振り返れば。



「おっきいね…」


「…あぁ、この建物がですか」


「学校よりでかいもん」


「…自分は、その『学校』という建物を
見た事がないですが
この建物は大きいと思います」



少し寂しげなリン。



「…そっか」



リンを盗み見れば
さっきまで全然気付かなかった打撲の痕。



―――昨日の、エレンにやられた傷痕…


この子は、いつからこんな危ない所にいるんだろう。
中等部トップだとカグラさんは言ったけど…




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