時空奏者



「ハルカ様、もうすぐ着きますので」


「うん、わかった」



少し前に見た景色が広がる。




「…ハルカ様、着きました」



「どこ、ここ?」



ありきたりな

『扉が目の前にっ…!』


っていう訳でもなく




ただただひたすら何もない。


木一本すら立ってない。



「あと、これを付けて下さい。
それから向こうに戻ってからも
絶対はずさないで下さい。

色々と面倒なので」


「あ、は、はい…」



ハルカに手渡されたシンプルなネックレス。


ワンポイントに
小さな赤い宝石のようなものが
くっついている。



「綺麗…」


「それは、ここと向こうの世界を繋ぐもので、
向こうの方には決して見えません。


……それが見える、という方には
危険ですので決して近寄らないようにして下さい」



「りょ、了解…!!」



―――エレンにも適用できたらいいのに!!


残念っ!



「目を瞑って下さい。移動を開始します」



すぐに目を閉じるハルカ。


それを確認してからリンは呪文のようなものを唱える。



―――凄い…。なんか、映画みたいだー…

そして、少しずつ光が無くなるのを感じる。



「り、リン…っ」



大丈夫なのかと不安でハルカが
思わず名前を呼ぶと、グッと引き寄せられた。



「……目を、開けても大丈夫ですよ。
ただし、下は見ないで下さい」



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