Time is gone
「みんな知らないから、あんなことに必死になれるんだ。起きてから寝るまで、何の面白味もなく勉強し、安定した将来を手に入れようとしているんだ。でもそんなものは周りの大人に刷り込まれた幻想であって、この世の中に絶対なる安定など存在しない。……だから僕は、そんなことに必死になれない」
 僕は果てのない暗闇に向かい呟いた。たった十七年という短い日々の中で、すでに人生という迷宮に迷い込んでいた。
「僕はこれからどうなる? どんな人生を歩めばいい? ……それが分かれば、まだ頑張れるってものだ。いや、それが分からないからこそ、みんな必死に与えられたレールの上を走っているんだ。死という、完走を目指して……」
 哲学者のような言葉に、僕は自らを嘲笑った。それがせめてもの強がりだった。だがその笑いも、すぐに影を潜めた。
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