Time is gone
 夢を見た。朝起きて学校に行き、剛に引っ張られて塾に行き、帰宅し眠り、また起きて学校に行き、またまた塾に引っ張られて行く……、というやけにリアルなそれを。眠る直前まで考えていたことが、そのまま夢として出て来たのかもしれない。
 僕の冷静な分析は、中断を止む負えなくさせられた。目覚まし時計の針は、七時十分前を指していた。そして枕元の懐中時計の針も、七時十分前を……。
 しかしなぜ、その日に限って目覚まし時計は鳴らなかったのだろうか。いつもは六時半になれば、ジリリリリリーッ、というけたたましい音と共に、僕をこっちの世界へと強制帰還させるのに……。
 慌てて階下に下りると、母親の景子が朝食の準備をしていた。白米の炊ける匂いと、味噌汁のそれ。いつもと変わらない一日の始まり。
「あらっ、こんな時間に起きて来るなんて珍しいじゃない」
 母親の一言に、僕はムッとした。
「何言ってんだよ、急がないと遅刻だよ」
 あらそう? 母親は素頓狂な声で答えた。居間のテレビからは、最新のニュースが報じられていた。
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