Time is gone
「例の殺人犯、捕まったんだね。日本の警察は優秀だね。事件発生から二日か三日で犯人逮捕とは」
 画面では、斎藤真哉二十六歳が護送されていた。
「あんた何寝惚けているの? 事件発生から一週間も掛かったのよ。その間どれだけ不安だったか……」
 はぁっ? 一週間? 事件が起こったのは先週の金曜、深夜だぞ。そして今日は火曜日。何言ってんだよ、このクソババア。
 僕は内心でそう毒づいた。
「それより親父は?」
 もう出社したのだろうか。サラリーマンとはご苦労なことだ。
「昨日飲んで帰ってきて、まだ寝ているわよ」
「おいおい、遅刻するぞ。そんな調子じゃまたリストラだ……」
 僕は母親に聞こえるか聞こえないかくらいの声で、そう呟いた。
 母親の様子もおかしい。しょうがない、僕が父親を起こしに行くか。
 二階の寝室へと向かおうとした僕を、母親は呼び止めた。
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