君まで2ステップ
* * *


俺はすぐさま自分のベッドに横になった。

寝なきゃいけない体だってことは分かってたけど、さっきの梨絵さんの言葉が頭の中をぐるぐるして、全然眠れそうにない。



「予定…あったのに…俺んとこに来てくれたんだ…。」


梨亜に対して申し訳ないって思う反面、どうしても嬉しい自分がいる。
自然と顔が緩む。


「『ごめんね』ってそういう意味…か…。」


自分のせいでとか、梨亜でも思うんだな…。
俺は全然梨亜のせいで風邪ひいただなんて思ってねぇのに。

でも…
期待してもいいかな、梨亜…?

エレベーターに閉じ込められたあの日から、少しは俺たちの関係が進んだって…。
少しは…俺のこと、『ガキの幼馴染』じゃなくて、『男』として見てくれるようになったって…
少しは…振り向いてくれたって…思ってもいい?

別に調子に乗るわけじゃない。
彼氏面する気なんか微塵もない。

でも…
開いてた俺たちの距離が少しは縮んだ、そう思っていい?



「あー…今日もう眠れねぇ…。」


そう呟いて、俺は窓の外の月を眺めた。

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