君まで2ステップ
「あのねぇ…あたし、晴輝の母親だから。
あのカーディガンが晴輝のものだってことぐらいは普通に分かるわよ。
エレベーターに閉じ込められて寒さに震えるあなたに貸したってところでしょ?」

「う…まぁ…そうだけど…。」

「どー考えたって自分のほうがずぶ濡れなのにね?」

「そーなのよ!!ってかそうだよねはるママ!!
晴輝ってそういうとこあるよね昔から…
なんか自分は二の次で先に他の人を…っていう…。」

「そうね…確かに晴輝はなんていうかあたしに似ないでそういう優しさを持ってるけど…
でも、その優しさは常に誰にでも向けられてるわけじゃないわよ?」

「え?」

「梨亜、3年前、晴輝になんて言われた?」

「3年前…?」



あたしは記憶を辿る。
3年前…あたしは高校1年生で晴輝が中2。


「秋頃よ。あなた、晴輝になんて言われた?
忘れたなんて言わせないからね!!」



そう言われて思い出す、あの告白。
そしてあたしの言った言葉。


『あたし、自分より背の低い人を彼氏にする気なんてさらさらないから。
っていうか晴輝、あたしより年下じゃない。
それにあたし、年下は男として見てないから。』

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