君まで2ステップ
「そうっ!!だからわざわざこのあたしが直接届けてあげたのよ。
っていうか晴輝、あんたがあたしにコレ、貸さなかったらあんたも風邪ひかないで済んだのよ?
ほんっと晴輝は…ヘンなとこ優しいっていうかお人好しっていうか…
大体あたしに貸す必要がなかったのよ!!別にあたし、寒くなかったし。」

「それは嘘だ。梨亜、あの時震えてたし。
それにいいんだよ、俺が梨亜に貸したかったんだから。
俺が風邪ひくより、梨亜に風邪ひかせる方が嫌だって思ったから貸したんだし。」

「だーかーら!!
晴輝は昔っから滅多に風邪ひかない子だったけど、一度風邪ひくとすごい熱出してたじゃない!?
今回も結局そのパターンだし…。
もっと自分を大事にしなさいよね!!じゃないとこっちが困るっ!!」

「え?」



『こっちが困る』ってどういう意味…?
俺、なんか梨亜を困らせるようなことした…?

俺の沈黙と視線に気付いた梨亜の顔が急激に赤く染まる。



「梨亜…?」

「なっ…べっ…別にあたしは困んない!!困んないんだから…!!
でも気になるでしょ!?あたしのせいで熱出したんじゃないかってちょっとだけ…ほんのちょっとだけ罪悪感とか湧くし…。」



慌てて否定する梨亜。
その慌てっぷりが可愛くて、俺の顔は無意識のうちに緩む。


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