彼と私の関係〜もう1つの物語〜
「大丈夫?」
「前の……会社の同僚なんです」
「あぁ。分かりました」
マスターは頷くと「彼が帰るまでは棚卸をしておいてください」と言ってPCの横に置いてあったバインダーを手渡してくれた。
そして、さっきと同じように少しだけ扉を開けたまま店へ戻る。
マスターの気遣いに感謝しながら、ほとんど終わっている棚卸の最後だけを手伝った。
1時間ほど彼はマスターと話しながらここでの時間を過ごし「また来ます」と言って帰って行った。
それから何度かこの店を訪れるようになった彼。
――高橋さんだった。
その都度私は隠れて様子を伺っていた。