カジュアルロンド
ちょうど0時に、サヤから電話がかかってきた。
吸っていた煙草の残り火を消し、TVの音量を小さくした。

受話器の向こうでモソモソと動く音が聞こえた。

「ゆっくり話すためにベッドに移動中~」

サヤが笑った。

それから僕らは、2時間ばかり、一人暮らしの苦労や高校時代の昔話、趣味や最近のマイブームなどを話した。

電話だと気楽に冗談もいえた。

今週末に映画を観る約束をして電話を切った。
あっと言う間に午前2時を過ぎていた。

ベッドに横になると、心に昂揚感を感じた。
もしかすると、サヤは僕のことを気に入ってくれたのかもしれない。
気のせいかもしれないけど、彼女の話ぶりや態度はそんな感じだ。
映画を楽しみにしているって言っていたし。

女の子と二人きりのデートは3年ぶりだろうか。
カナが好きな筈なのに、他の女の子とデートか。

枕元に置いてあったゲーテの詩集を手に取った。パラパラとページを捲ると、私をさがしての文字にいきつく。

まるでカナからのメッセージのように思え、僕は深くため息をついた。
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