サクラ咲ク


さっきまで夏の空特有の真っ青な空はいつの間にか姿を消して、かわりに茜色の空が広がっていた。



「トシ!!実技試験なんてそんな無茶苦茶な…!!」


「無茶苦茶?隊士になる奴はみんな入隊試験やるだろうが。使えねぇ奴なんか入れても足引っ張るだけだ。」


「だからってな…」




近藤さんは私を心配して、なんとか実技試験をやめさせようとしてくれている。


多分、近藤さんは私が剣術を多少は出来るとは知らないから。



でも、言い分としては土方さんが正しい。

壬生浪士組がどんな場所かはイマイチわからないけど、武士の集まり、と見て間違いじゃないと思う。




「…近藤さん、」




間違いじゃない、と認めてしまったからには、実技試験をやるしかない。




「やってみます。」





絶対、勝って認めさせてやる。








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