サクラ咲ク


渡された竹刀を見て、現代とさして変わらないことに安心した。

中庭には私たちを囲むように、沢山の隊士たちが集まっていた。




「総司!審判やれ!」



「はぁ~い」



土方さんの尖った声に、総司と呼ばれたその人はヘラリと笑いながら現れた。

その様子を見て、総司さんを少し尊敬してしまった。





「先に一本取ったほうが勝ち。いいか?」




シンプルで、わかりやすい。
私は一度頷いて、竹刀を構えた。




「では、先に一本取ったほうが勝ちです。構えて…始めっっ!!!!」




総司さんの言葉と同時に、とりあえず間合いを取り、様子を見る。



ごくり、と唾を飲み込む。
こんな感覚、久しぶりだ。



緊張と、不安と、期待。



混ざり合ってぐちゃぐちゃになっても、出来上がる色は何故だか汚くない。





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