サクラ咲ク
「近藤さん。」
私は近藤さんと向き合って、その瞳を見つめた。
「助けてくださって、ありがとうございました。本当に…嬉しかったです。」
こんな私を、仲間に、と誘ってくれたこと。
本当に嬉しかった。
これから暗い世界で生きるとしても、それだけはきっと私の仲間で輝き続けると思う。
「なんのお礼もできませんが、もしもう一度会うことが出来たなら、その時は…」
きっと、私にできる最大限のことを、
そう言おうとしたけど、私は言葉にはしないで小さく微笑んだ。
「…いつまでも、お元気でいてください。」
一度、深く頭を下げて私は門に向かって歩き出す。
「ゆ…悠希!!!!」
背中にハッとしたような近藤さんの声を受けたけど、振りかえることはしない。
一人になるのは、怖い。
これからの未来に不安はある。
だけど…優しくしてくれた近藤さんにこれ以上迷惑はかけたくない。
引き際は、美しく。
凜と背筋を伸ばす。
そうやって、私は大丈夫だと、近藤さんに伝わればいい。
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