サクラ咲ク


切腹って…
武士がお腹に刀入れて自分で死ぬやつでしょ!?



『武士の理想とする最期。』




時代劇か何かで、そんなことを言ってた気がする。
そんな死に方が、美徳だと。


気がつけば、もう塞がっているその傷に触れていた。




「痛かった、ですか…?」


「ちょ、悠希?」



原田さんにも、辛い過去があるのだろうか。

自ら死ぬという答えにたどり着かせる、何かが。



よく晴れた朝なのに、目の前が真っ暗になって あの日の景色が蘇る。



私が母に捨てられた日。
廃墟の屋上から見た、最後の世界。



見下ろした街のネオンが、
鮮明に浮かぶ。



星の数より、ネオンの数のほうが多い平成の世界。




それがまだ昨日、一昨日の話なのに、随分昔の話みたいに感じる。





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