異世界プリンセス
「一年前、この国は王を失った」

???
亡くなられたのかしら――…?

「ドコを探しても見付からない。父上は、ある日突然、消えてしまったんだ」

寂しげな瞳が告げた真実に、あたしは目を見開く。

「王位を継ごうにも、私にはその役目を果たせない。
それに、安易に王位継承をすれば、国民に異変を気付かれかねない。
――そう、父上が消えた事は、知られてはいけない事実だった」

役目を果たせない?
どうして?

気になった節はあったが、質問は最後。
敢えて話を中断せず、聞きに徹しようと思った。

「そこで、弟の婚約を機に、王位を継いでもらう事になったんだ」

話の中の、自分との関連性に気付かされ、思わず手を止めてしまう。
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