ボスを継いだ少女
部下の五名と私一人で戦った。







訓練開始までは部下は余裕の表情をしていたが、終わってみると真っ青な顔をしていた。








ボスの存在が本物だと理解したのだろう。









この訓練は別に部下に私の力を見せるためではなく、『神山ミコト』との戦いをシミュレーションしたものだった。









だけども、終わってみて、何の役にも立たなかった。








あれほどの絶対的な力を感じるものは見つからない。








あれは能力だけではない。









『神山ミコト』の意志の強さからだろう。








『伊藤が望む世界を変えることなんて僕にとってはどうでもいい』と言ってい






たが本当にそうなのだろうか。







疑問に思った。







「アカネ」









ヨシトの声が聞こえた。







ヨシトを家に入れない指示を取り外したがやっぱり戻したいと思った。








連絡もなしに暇があれば家に上がりこんできた。








迷惑な話だ。








「アカネが戦ってるところを途中から見てたけどすごいな。全ての攻撃を避け、確実に倒す。さすが『W』の中で一番の強さだ」


「ヨシト、私は…」


「わかってるよ、アカネ。敬語を使えだろ」


「それなら、使いなさい」


「はいはい、会う度に言われると次第に言われないとアカネに会った気がしなくてね」


「それなら、もう言わない。だから敬語を使いなさい」


「それより、明後日のことだけど…」


「話は後にして。少し汗かいたからシャワー浴びたいの」


「そうか…。お供します。ボス」


「ふざけないで」


「わかった。応接室で待ってる」


「敬語を使いなさい」










私はシャワーを浴びて応接室に行った。
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