ボスを継いだ少女
「どうして。『超越者』さんならできることなんじゃないの」






「やり方がわからない」






「…」






「僕は『選択』能力者なんだ。
『選択』だからどんな能力でも使えるんだけど一つ条件があるんだ。
『能力を使用する際は能力を想像しないとできない』んだ。
つまり、自分の知らない能力は使用できないんだ」






「じゃあ、どうすれば使用できるの…」






「使う能力の理論を勉強すればできるんだけど…。
僕…『間接系』能力を使ったことが無いんだ。
それに能力値が高いから使用したら、たぶん使った相手が死んじゃうと思うんだ」






「…」


「力になれなくてごめん」


「いいの」


「ちょっと聞きたいんだけど、その仲間ってどこにいるの」


「『ヘブン』以外の国にいるの」


「そうなんだ」








「でも、連絡が制限されている国もあって私たちの使っていた通信器以外では連絡が取れないの。
ミコトも知っていると思うけど、『W』には穏健派と過激派がいるの。
穏健派は皆『ヘブン』に居るんだけど問題は過激派なの。
彼らは世界中を移動していて特殊な無線機を使ってこっちに連絡していたの。
でもその装置ももう使えない」







「その装置ってほかにはないの」








「特殊な通信機は基地にしかないの。
この国にいる幹部に持たせている通信機とも違うものだし、信号の暗号も今はわからないの。
世界にいる部下がどこにいるのかも確認できない状態だし…
それに私はちょっとした有名人だから…動くことができないし…
基地に戻ることもできない」








「そうなんだ」







「どうすればいいかな」







「山本に連絡してみたら…」







「山本…そういえば、山本に最近会ってないわね」










「山本は伊藤の指示で世界を旅しているんだ」
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