ボスを継いだ少女
「どうして…」







「わからない。
この前の事件が起きる前にはもう『ヘブン』にいなかったんだ」







「山本とは連絡が取れるの」






「うん、山本からの連絡は定期的に来るんだ。
今日も午後の五時に連絡が来る予定だよ」







「そうなの、私に連絡をつないでほしいんだけど…」






「いいよ」






「ありがとう。でもいいの。
伊藤とかには相談しなくて…」






「いいんだ…。伊藤も言ってたから。アカネにできるだけ協力しろって」






「そうなんだ。お父さんは元気」





「うん。元気だよ。
今は病院の地下で筋トレしているよ。
病院が息苦しいらしい」





「ねえ、あなたたち『C』は何をしようとしているの…」






「ごめん、それだけは話せないんだ」






「そう、ありがとう。
連絡が来たら、私の方にも連絡できるように電話番号教えておいて」






「わかった」






私は連絡先を教えた。





「ミコト、この前のことなんだけど」


「何」


「あの時はごめんなさい」

「いいんだ。ああなることも予測していたから…」


「そう、ならいいの」


「辻本もだいぶ疲れているようだけど…」


「大丈夫…、それじゃあ、よろしくね」









『神山ミコト』と話しいたとき『C』のことがふと頭に浮かんだ。
あの頃が懐かしく感じた。
世界を動かそうとした『伊藤マサ』。
それに付いて行った『神山ミコト』『白崎ナナミ』『山本タクヤ』
私は彼らを監視するために参加したが、彼らのことを知らないうちに信頼できる人だと思ってしまったのかも知らない。
長年いる『W』の部下を信じないで『C』を信じた私はなんなんだろう。
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