あたしと彼と白いキャンバス
素直に答えると、篠宮先輩の表情がくすぐったそうにほころぶ。

親に褒められた子供のようだ。


学校でもこんな表情をすればいいのにと思うけど、あまり人に見られたくないとも思う。

わがままだろうか。




ふ、と思い出した。


「先輩、聞きたいことがあるんですけど」

「なに?」

「先輩の部屋で見た水彩画。あれって誰の絵なんですか?」


先輩の箸がぴたりと止まる。



「…俺のだよ」


先輩は影のある笑い方をして、答えた。
< 233 / 321 >

この作品をシェア

pagetop