死に神ゲーム
はぁ、と小さく溜息をはくと私は携帯をしまった。
「仕方ありませんわ。歩いて・・・はちょっと遠いですが、歩きましょう」
此処から紫翠の家までは歩いて帰れないこともないが遠いほうだ。
「・・・昼食の時間までに、帰れますでしょうか・・・」
校舎内から出て空を見上げながらぽつりと呟いた。
「・・・今日もいい天気ですわ。多少お腹は空くでしょうが、のんびり散歩気分で帰りましょう」
そう思いまた一歩踏み出した時だった。
「しっすっいちゃーん!」
「静・・・?」
数メートル先から手をブンブンと振りながら名を呼ぶのは静。
あまり関わりたくはなかったが、自分の名前を呼んでいるのだからとりあえず行ってみる。
「どうしたんですの静?もうとっくに帰ったかと思ってましたのに」
「下駄箱を見たらまだ靴があったから。一緒に帰ろうかと思って」
ニコニコと笑いながら静は言う。
「一緒にって・・・貴方も私も車ですわよ?」
その証拠に真っ黒な見慣れた長い車がとまっている。
どうしてどなたも無駄に長い車に乗るんでしょう?
と、静の(といっても静の家の)車を見てそう思った。