死に神ゲーム
自分のポストの前まで来ると、番号を入力して蓋を開けた。
中にはおばあちゃんからの手紙のトレードマークの緑の便箋。
数枚のチラシとガス代なんかの請求書。
そして・・・
「あれ?」
真っ黒な便箋・・・。
「おばあちゃん以外からの手紙なんて珍しい」
赤い薔薇の模様の印が押されてある手紙には、本来あるべきはずの差出人の住所も名前もなかった。
でもしっかりと私の名前はある。
白いワープロ文字でだけど。
「コレ、開けていいんだよね・・・」
なんだか開けるのを躊躇われる便箋だ。
ートントン
「え、あっ。優子さん!」
肩を叩かれて顔だけ向くと、そこにはこのマンションの管理人の孫である木村優子(キムラユウコ)さんがいた。
私より4・5歳年上だ。
「おはよう雫ちゃん」
ニコッと微笑みながら挨拶した優子さんは美人なだけに、女の私でも見惚れる。
優しい優子さんにはよく色々と相談にのってもらっている。
「おはようございます優子さん!」
私は咄嗟に後ろ手に便箋を隠しながら優子さんへと振り向いた。