死に神ゲーム
「今日は早いのね?」
「たまたま早く目が覚めちゃって。優子さんは何時もこんなに早いんですか?」
私が聞くと優子さんはふふっと笑って「いいえ」と言った。
「今日は〝亮〟が遊びに来るから、ちょっと速いけどお迎えに行くところだったの」
〝亮〟?
「もしかして彼氏ですか!?」
美人なのに優子さんには旦那どころか男の影が見当たらない。
何時も不思議に思っていたが、やっぱりいたのか。
しかし優子さんは首を横にふった。
「違うわ。幼なじみよ」
あ、何だ。違うのか。
でも、否定するときの優子さんの顔。何だか寂しそうに見えた。
しばらくその場で話していると、不意に優子さんが顔をあげて壁にかかっている時計を見た。
「あら、もうこんな時間・・・雫ちゃん、またね」
「はい。またおしゃべりしましょうね!」
私は優子さんに手を振ってエレベーターへと乗り込んだ。